2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

景色

乾ききっていない洗濯物は、この頃、鴨居ではなくハンガーラックに掛けられている。鴨居と違って、鬱陶しさもない。夫も気にすることはないし、引き戸をすぐ閉めることもできる。鴨居に掛けたり、下ろしたりの作業もなく、利点ばかりだ。しかし、一度ハンバ…

一滴でも

「さっ、むっ」と誰もいないのに、声が出る。やかんに火をかけている間、じっとしていられなくて、ゆっくり足踏みをする。こたつで暖まった足は、みるみる冷える。 ティーパックを入れたカップに湯を注いで、再びこたつに戻った。 青いノートとメモに書いた…

地道

白ともグレーともいえない雲が、空を覆っていた。橋のこちら側とあちら側で、五時を知らせるメロディーが混ざり合う。 右手には念のため持ってきた傘と、左手には大きな袋を持って、私は一人、橋を渡る。等間隔に並ぶオレンジの街灯と、前日よりぐっと冷えた…

無気力

どうにも悪い癖だ。思うように片付かず、掃除もできず、年が明けた。年末という暗黙の期限が過ぎた。そうであるなら、焦ることはなく片付ければ良いのだと気持ちを切り替えたはずが、かなり失速してしまっている。 加えて、ほんのちょっとの不調が、行動の制…

成長

着々と準備は進められていた。しかし、まだ実感はなかった。 *** 息子と娘、二人の子供はもうすでに成人している。今の彼らと同じ年齢だった頃の私を、振り返る。そしてまた、今の私と同じ年齢だった頃の母のことも。 二十代前半は、就職、結婚、息子の誕…

休養

携帯電話で時間を確認する。ここへ来てからすでに二時間半が経過していた。ようやく家に帰ることができる。ここに向かっている時点で、すでに帰りのシミュレーションをしていた。帰り道にある二軒のパン屋のうち、どちらのパン屋に寄るかを決め、その後、惣…

便り

ポストの中を覗くと、いつもより郵便物が多く入っていた。ほとんどが夫宛のもので、差出人は全国各地からだった。同じタイミングで届くのも、なるほどと納得する。期日の大晦日になって、慌てて手続きをしたからだ。しかし封筒と同じ数だけ、選んだ品が届く…

朝の時間

気のせいではなかったようだ。ゆっくりと、うっすらと反応を示す。 夫に続いて、私にもそれらしき症状が出たが、幸い熱はなかった。軽症を示すかのように、検査キットの反応も鈍かった。 療養期間が明け、日常が戻る。改めて、どこから片付けようか考える。 …

はじまり

あれもこれもと気になりつつ、いろいろとやり残す。最後にマンションのゴミ置き場へゴミを運んで、年内の片付けは終わりにした。 年が明けて、ゆっくり時間が流れる。起きる時間も、寝る時間も、お風呂に入る時間も、みんないつもと違う。 パンパンに詰め込…