電話の向こう側で、夫が慌てていた。急に”現金”が必要だと言う。家に訪ねてきた人物に対応しているようで、外出している私に、お金の在処を聞いてきた。 慌てるのも無理はない。まだまだ先だと思っていた代引きの宅配物が急に届いたのだ。なんの知らせもなし…

じわっと汗をかく。顔が火照っている。去年の秋ぐらいから、この症状がある。時々だったのが、最近、一日一回は現れる。いわゆる、更年期障害というやつだ。 ようやく分厚い本を読み終えた。どんな本だったか語っても、本の分厚さには比例しない。推理小説と…

「じゃじゃ～ん」 遥子ちゃんにお披露目をする日がようやく来た。 河川敷のテニスコートは水はけが悪く、前日の雨の影響を受けやすいと遥子ちゃんが言う。前回、前々回も、当日雨は止んでいたが、コートは使えなかった。昨日も夕方から雨が降り出したので、…

データ更新を”自動”に設定しているが、スムーズではないので、手動で更新する。まだ使い始めたばかりで、要領を得ていない。 去年の夏から、毎日体重を量るようにしている。知らないうちに増えているということがあるので、意識して自分の体重を知っておくと…

郵便局の窓口で、一通の封筒を差し出した。これで”終わり”ということになる。 もうずっとネット検索ばかりする毎日で、心身共に疲弊していた。職業訓練校を修了して三ヶ月以内に就職をし、活動報告をすることが義務付けられている。未就職という欄に丸をした…

「今日だけは、やめて」という男の子のママの気持ちは、よく分かる。いつもは寛容なママであることが想像されるが、今日ばかりは勘弁してほしいだろう。通りすがりの私でさえ、冷や冷やした。ランドセルを背負って、おめかしした男の子は、水溜まりに足を入…

携帯電話に表示される番号は、知らない番号だった。電話に出ないでいると、すぐさま、家のインターホンが鳴った。まだ朝の８時過ぎである。そこには、知らない人が居た。 カレンダーに書くのをすっかり忘れていた。ただ、遥子ちゃんの経験がここで活かされる…

先に彼女の方が、私に気付いてくれた。待ち合わせ場所に行くのに、同じ路線に乗ることが分かったのは、前日、彼女がグループラインで問いかけてくれたおかげだった。乗り換えの駅で合流し、次の待ち合わせ場所へと向かう。 彼女とは互いに認識できたが、次の…