繋がり

先に彼女の方が、私に気付いてくれた。
待ち合わせ場所に行くのに、同じ路線に乗ることが分かったのは、前日、彼女がグループラインで問いかけてくれたおかげだった。乗り換えの駅で合流し、次の待ち合わせ場所へと向かう。

彼女とは互いに認識できたが、次の待ち合わせ場所で会う彼女達と上手く合流できるかは、また不安だった。そのうちの一人が、着いたら写真を送ってくれると言っていたとおり、ラインに写真が送られてきた。大きな駅の改札口を出ると、写真と同じ光景が目に入る。

お昼ご飯の調達に時間を要してしまったのは、お店が数多くあるだけの理由ではない。
共通する”いつもの感覚”が、私達の中にはなかったのだ。そんなわけで、目的地の最寄駅である隣駅で、最後の一人を随分と待たせてしまった。

最後に合流した彼女に、会って早々「髪、切った?」と聞かれた。
最近切ったわけでもないので、いまいちピンと来ない。確かに前回会った時は、肩に髪がついていた。まるでいつも会っているような聞き方が面白い。

 

 

ラインの登録名からニックネームで呼び合うようになるも、声に出すのは今日が初めてだ。まだ口が慣れていない。かといって、苗字に”さん”付けで呼ぼうにも、彼女達の本名を知らない。

レジャーシートに腰を掛け、まずは乾杯をする。最初は自己紹介だ。ここで初めてフルネームを知り、年齢も明かされる。

ちなみに今日は、主役の月子さんは居ない。私達の共通点は、月子さんの視聴者であるということだけだ。”マチダ”で開催されたオフ会から、一年と少しが経過していた。
彼女達に会うのは、それ以来だった。

 

まだこの日は、桜の木は花を咲かせておらず、少し残念ではあったが、代わりに菜の花が一面に黄色い花を咲かせていた。

グループラインに載せられた写真には、菜の花の前で写る、すっかり打ち解けた私達が居た。