開花宣言

春が好きなのは、三月が誕生月だからという理由なのかも知れない。

 

ベランダは一面に濡れ、サンダルのびしょ濡れ具合が、午前中の雨の様子を物語っていた。午後には打って変わって、太陽が顔を出し、空を明るくした。
上着は必要なかったなと思うほど、外は随分と暖かかった。寒いのも、暑いのも苦手な私は、春の気候が一番良い。

 

残念なのは、花粉症に悩まされるということだ。
今年、花粉症用の眼鏡を購入した。

老眼鏡が必要になってから、昔に買ったブルーライトカットだけされた眼鏡は使わなくなったが、花粉の時期には登場する。気持ち花粉を防ぐためだ。
しかし、その眼鏡をどこかで失くしてしまう。モノを失くすのは珍しい。
誤って”捨てる”ことはないので、大概、家中のモノをひっくり返せば出てくる。
今回は、外で使っていて、家に帰ると鞄に入っていなかったものだから、どうあがいても出てこない。

そんなことがきっかけで、新しく眼鏡を買ったわけだが、効果はあるようだ。

 

一つ年を取って、新年度を迎えるというタイミングが、より新たな気持ちを強くさせる。

大木にも関わらず、花も葉もつけない枝だけの木は、桜の木だと気付かぬほどだ。やがて蕾をつけて春の準備が始まる。同じように、秘めた蕾がいくつも私の心にも宿る。ポツポツと一輪ずつ花が咲き始めると、そこからは一気にピンク色に染まる。
私の蕾が咲くまでは時間が掛かるだろうけれど、その一輪が咲いたなら、連鎖するように、そう桜のように、花が咲くことを信じたい。