2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

曇りのち

湿気を含んだ、生ぬるい風が部屋を通り抜ける。雲の隙間から、時々太陽が顔を覗かせる空は、今晩雨を降らせるようだ。まだ乾ききっていない昨日の洗濯物が、鴨居いっぱいに掛かっている。今日の天気も、乾きは良くなさそうだと判断して、洗濯はやめておいた…

今年の目標

「正」の字を二回書けば、一日のノルマは達成だ。最後の一画を書き終えると、もう0時を回っていた。 計量カップで量った200mlの水は、マグカップに移し替えると、思った以上に注がれる。それを目安に、毎回並々とマグカップにお茶か白湯を注ぐ。一杯飲み干…

月に願って ゆめ叶う

「マチダ」という場所へ向かっていた。途中の乗換駅は、帰省の時に利用する駅と同じで、方向音痴の私でも不安はなかった。しかし、自宅の最寄駅から電車に乗ると、すぐに緊張しはじめた。目的地が近づくにつれ、さらに緊張が増していることを自覚した。 今日…

青いノート

今月はすでに予定がいくつかあったが、一つ済ませると、また一つ増え、新しい青いノートは、どんどん予定で埋められていった。それと反比例するように、「片付け」の時間がどんどんなくなっていく。最後まで使い切った青いノートの方には、まだ赤線が入って…

学び

洗濯を何回も回していたら、もうお昼になろうとしていた。とりあえず、頼まれた用事を先に済ませるべく、家を出る。目的地に着くと、お客は私一人だった。扉が開く前に、次のお客さんが来たのに気付く。全面ガラスの扉の向こうに人が立てば、狭い店内に居る…

聖なる夜は

耳に入ってくる音は知らない曲だが、すぐにクリスマスソングだと分かる。予約受付中のケーキの見本はアニメのキャラクターが飾られ、昔買ったことがあったな、と懐かしむ。買い物リストを片手にスーパーへ来たのだが、目的のものを探すのに時間が掛かってし…

見上げた空には

昼間、外出した私の携帯電話は、マナーモードのままだった。夫からのラインがしばらく未読だったのは、それが原因で、もちろんその後の電話も気付かぬままだ。ふと携帯電話を手にして、ようやく夫からのラインに気付く。これから帰るということを知らせるス…

約束

ここに立つ度、赤い文字が目に入る。キッチンと、向かい合わせに配置した食器棚との間は、一人立つのがやっとだ。腰ほどの高さの小さな食器棚の上は、ちょっとものを置くのに都合がいい。赤い文字で書かれたメモはここにある。 *** 土手の向こうから、彼…

告白

どこを探しても見つからなかった。押入以外に収納する場所がないのだから、やはりここしか考えられない。いつもなら息子の部屋の押入にある。かすかな記憶だが、いつもと違う場所、和室の押入に入れたような気もする。二つの押入を行ったり来たりする。 常に…