告白

どこを探しても見つからなかった。押入以外に収納する場所がないのだから、やはりここしか考えられない。いつもなら息子の部屋の押入にある。かすかな記憶だが、いつもと違う場所、和室の押入に入れたような気もする。二つの押入を行ったり来たりする。

常に出しっぱなしだった布団の収納スペースを、和室の押入に確保したのは随分前だ。それでも、布団は出しっぱなしだった。空いたスペースは一時的に「もの」が置かれ、そのうち、空きがなくなった。最初にここに案内された「ストーブ」は一番奥に居た。何度もここは確認した。それでも姿が見えないほど、「もの」を埋め尽くした自分に呆れた。季節外れにやっとの思いで片付けたストーブは、季節がめぐってくると、すぐさまダイニングに鎮座する。
壁に設置されたガス栓に、ガスストーブのホースを繋げるには、棚の下にホースを通す。棚の下は、随分汚れていた。雑巾で床を拭く。こんなときにしか掃除をしない。

外に出ると、冬の匂いがした。
家を出る前に冷蔵庫を覗いた。買おうと思っていたかぼちゃが目に入る。野菜室は要注意だ。他に忘れ去られている野菜がないか、ひととおり見る。その日の夕食を決めるのは、夕方になってからだ。この日は珍しく、明日の分も買っておこうと、メニューをあれこれ考える。スーパーまでなるべく歩くようにしていたが、買い物から一刻も早く帰りたくて、自転車の鍵を手に取り、玄関をあとにする。

家を出る直前まで、メモに買い物リストを書き込んでいたのに、かばんの中にメモはなかった。考えたメニューを思い出す。候補に挙げたメニューはいくつかあった。しかし今日と明日、どういう組み合わせにしたのだったか、最終的に決めたのかさえ、うろ覚えだった。メニューに魚は外した。夫に肉以外のものを用意するとしたら、じゃがいもコロッケだろうか。今日はかぼちゃを使いたい。家にあるさつまいもも気になった。

結局、候補に挙げた根菜野菜のメニューから、今日のメニューを決めてその日の分だけ買い物をした。じゃがいもがメインになったので、気持ちばかり素揚げしたかぼちゃを添えて、十月の最後の日のメニューにした。

買い物リストが手元にあるときは、さっさと目的の物だけ買って帰る。スーパーに着いてからメニューを考える日は、店内をぐるぐる歩き回って、一向にメニューが決まらない。食料品の買い物は好きではなかった。

料理の食材が一式セットになった、ミールキットを利用しようと、生協を始めて一年が経つ。買い物の回数が減るメリットもあった。かといって、一週間分のメニューを考えて注文しているわけではない。ましてや生協の注文はいつも締切時間ぎりぎりで、メニューを考えて食材を買うという流れではなかった。注文する商品はいつも同じようなものだった。この頃、スーパーに行く回数が増えている。

⦅片付けが出来ひんだけちゃうんねん。掃除するのも、ご飯作るのも、あかんねん。ゆめ子さんは家事全般出来ひんねん⦆