2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

西へ行く

青い空に、小さな白い雲が浮かんでいた。その光景を写真に収めたとしても、美しくはない。ゆらゆら揺れる電線が邪魔をしていた。 天気は良いが、随分と風が強い。花粉を浴びて帰宅すると、すぐさまくしゃみが出た。そうだ、マスクも必須だと気付いて、早速持…

しゅうかつ

ダイレクトメールばかりの受信箱をチェックしていると、見覚えのある差出人から”要返信”と記載されたメールが届いていた。事前に聞いていた報告日が近づいていたので、そのメールの内容については、ここのところ気にしていた。 期待に応えられるような過去形…

こんな日

踏切の向こう側にいる女性が、知っている人によく似ていた。勤務時間中にここに居るはずもなく、あまり見るのも失礼だなと、視線を逸らそうとした時、彼女は私に手を振った。似ているのではなく、本人だった。上下線の電車が通り過ぎる間が、妙に長い。もう…

春一番

待合室の椅子が足りないほど、混んでいた。時間潰しに携帯電話を眺めるのを躊躇する。自覚のない症状が、悪化するかもしれない。確かにパソコンや携帯電話を使用する時間が、大幅に増えていた。目を酷使しないよう、パソコンの使用に制限がかけられたらどう…

健康管理

深呼吸をした。時計を見ると、16時を過ぎたところだった。アラーム音で起こされてから、30分ほど経過していたが、嫌な夢の消化がまだ終わっていない。 昔住んでいた、実家の一階の一室に、母とまだ幼い息子と居た。私は、二階に身を隠そうとしたが、息子を母…

ミッション遂行

不備はない前提で、念のため確認をする。すると書類がニ枚足りないことが発覚する。一旦手が止まり数日が経過し、必要書類が同封されている夫宛の封筒を、ようやく捜索する。過去の私は、大事にしまい過ぎて、思いもよらぬファイルに収めていた。 ミッション…

立春を迎えて

目の前の光景に思わず”シュールすぎる”と口にした。いや、この場で声を出すのは御法度なので、正確には口にしたのではなく、心の中で呟いた。 ”シュール”という単語を使ったことがあっただろうか、ここで使うことがしっくり合っているのかも不明だが、恐らく…

久方ぶり

歩道の脇に、数えきれないほどのどんぐりが落ちていた。”どんぐりって秋だよなぁ”と素朴な疑問を抱いた翌日には、もう落ち葉と共に一掃されていた。制服を着た学生と保護者の二人組とすれ違う。ここのところ、よく見かける光景だ。恐らく、受験生だろう。 五…