三度目の正直

「じゃじゃ~ん」

遥子ちゃんにお披露目をする日がようやく来た。


河川敷のテニスコートは水はけが悪く、前日の雨の影響を受けやすいと遥子ちゃんが言う。前回、前々回も、当日雨は止んでいたが、コートは使えなかった。
昨日も夕方から雨が降り出したので、三度目もまたかという気持ちになっていた。しかし、中止になるほどの雨量ではなかったようだ。

遥子ちゃんはいつも謙遜して、テニスは下手だからというが、そんなことはない。
確かに、ハードな動きやスピード感あるボールを見たことはないが、それは私に合わせて打っているからであって、彼女はもう十年もテニスを続けている経験者だ。

とにかく怪我だけはしないようにしようね、と互いに言い、意識していた。毎週テニススクールに通う彼女と違って、なにせ普段テニスをしていない私を、彼女の方は特に心配していた。約束事は「走らない」だった。ボールを無理に追いかけないということだ。

 

 

テニスの歴史を少し語ると、私が最初にテニスに興味を持ったのは、小学生の時だ。
運動音痴は自覚していたが、なぜかテニスを習おうという気になった。
隣の駅にある、テニススクールに母と訪ねたのだが、小学生を教えるクラスがなかった。

それから時を経て、高校生になり、友達に誘われ二つ返事でテニスを習うことになった。ちなみにテニス部に入ろうなんて選択肢は、中学生の時も、高校生の時も全く持っていなかった。

高校生の時に少しテニススクールに通っていたという経験だけだ。あとは遊びで、その数も知れている。

 

 

遥子ちゃんとのテニスも、年に一回する年もあれば、しない年もあるぐらいの感じである。そんな頻度ということもあって、彼女の言葉に甘え、いつも彼女の娘ちゃんのラケットを借りていた。
私の当時のラケットはあまりに古くて、持ち込んだスポーツ用品店で、ガットの張り替えを断られたという経緯もある。ガットを張った時にラケットが破損する可能性があるというのも、納得した。

 

長い間、ラケットを借りていたが、今日からその必要がなくなった。やっと、自分のラケットを手に入れた。テニスコートに着いたら、早速、新しいラケットをお披露目する。

ラケットを眠らせないように、来月もまた河川敷のテニスコートを予約することにした。