時々訪れるチャンスの日

昨晩は、なかなか寝付けなかった。いつもより二時間近くも早く床に就いたのだから無理もない。リスクを伴うことを考えると、もうこの時間もギリギリだった。

朝4時半起床。と同時に夫を起こす。すでに昨日のうちに準備は万端で、夫を送り出すまでの朝のルーティンは牛乳を注ぐことだけだった。5時前に夫は玄関を後にする。
このまま起きて活動すれば、有意義な一日が過ごせるだろう。しかし、必ず昼間に睡魔が襲ってくることは明白だった。再び布団に入り、携帯電話のアラームをいつもの時刻にセットする。

一つ、自分に言い聞かせていたことがある。「期待しすぎないこと」

今まで幾度もこういう機会はあったが、毎回「やりきれなかったこと」に落胆する自分がいた。そのため、この頃は夫の出張中も普段どおり過ごすことにしていた。ここぞとばかりに、あらゆることをシャットアウトし、後に回せることは先に延ばし、気合を入れてしまいがちである。夫の居ぬ間に、驚くほど片付けようなどといつも思ってしまうのだ。

洗面所とキッチンを除くと、備え付けの収納は和室と洋室にある押し入れだけになる。片付けを進めるなかで、この二間分の押し入れが要であると感じていた。ここが攻略できれば、あとは難しくないような気がしていた。

和室には二組の布団が出しっぱなしになっていた。以前は押し入れに収められていたはずが、片付けを繰り返した結果、いつしか他のものに占領されてしまい、収納場所を失っていた。
「布団を押し入れに収納できるようにすること」目的はこれだ。
ただ忘れてはいけない。「期待しすぎないこと」気負わずやることにした。

全てのものを押し入れから出した。和室いっぱいに溢れるものをみても、今晩この部屋に寝床を確保する必要がないという安心感があった。すでにぎゅうぎゅうの押し入れに、二組の布団を収納するには、いらないものを処分しただけでは追い付かない。ハンガーラックを二つ、外に出した。
青いノートに描いた「押し入れの中の配置図」どおりにはいかなかった。
押し入れの中には、布団のほか、ここがベストであると思うものを収めた。外には、いるものもいらないものも、溢れ出た。「和室の押し入れ」と限定しても、出張の間には片付けが終わらないのだ。夫が帰ってくる前に、何事もなかったように溢れたものを一旦戻すことが常だったが、今回は出しっぱなしにした。一つずつ仲間のところに収める、もしくはあらゆる方法で処分をする、見える状態にして毎日少しずつ片付けを進めることにした。

夫が出張から帰ってきた。私の寝床はソファーから和室に戻った。