学び

洗濯を何回も回していたら、もうお昼になろうとしていた。とりあえず、頼まれた用事を先に済ませるべく、家を出る。目的地に着くと、お客は私一人だった。
扉が開く前に、次のお客さんが来たのに気付く。全面ガラスの扉の向こうに人が立てば、狭い店内に居る私からよく見える。次にやって来たのは業者の人だった。手慣れた様子で奥に荷物を置いたら、サッと出ていく。

受付の彼女に紙を渡してから、随分とここで待たされている。もう業者の人は、三人も入れ替わりやって来た。その度、荷物は同じ場所で重なっていく。
ふと自動ドアが開いて、ドキッとする。ドア越しでも視界に入るはずの人の姿が、その気配もないままドアが開いた。もちろん誰もいない。しばらくして、もう一度同じことが起きた。

私が渡した紙をまだ手に持っている彼女は、勝手にドアが開いたことなど気付かぬまま、いろいろな所へ電話をしている。途中、私に「他でもなかったですよね」と問いかける。事前に何の情報も伝えていないのに、その通りだった。結果、ここでも目的のものを受け取れず、彼女が隣の駅にある店で受け取れるよう、手配をしてくれた。

全面ガラスの扉の外に出ると、資源ごみが舞っていた。今日は朝から冷たい風が吹いている。

 

「薬、なかった」と言って、娘が病院から帰ってきた。処方された薬が、薬局に置いていなかったようだ。まぁそういうこともあるだろうと、娘に代わって私が別の薬局へ取りに来たのだ。ここにもなかったが、私がたらい回しにならないよう、薬剤師さんが在庫のある薬局を探してくれた。品薄の薬だったようで、患者に迷惑が掛からぬよう、病院に周知する旨、彼女は誰かに伝えていた。

 

繰り返し片付けをしている理由の一つは、その先の手を打っていないことだと痛感する。手を打つのが、早ければ早いほど被害は少ないのに、かえって被害を広げてしまう。自分で自分の仕事を増やしているのだ。面倒がらずに、一つずつ「解決」する、それが結局近道ということである。
今日の彼女から学ぶことは多かった。

 

二つ目の薬局から帰ってきたら、予定していた「片付け」の時間はとうに過ぎていた。少し休憩してから着手するはずが、睡魔に襲われてしまう。学んだことはすぐには活かされなかった。

夕方になって、近くのスーパーへ行く。店内で、姿は見えないが、はしゃいでいる複数の声がした。やがて遠のいたが、店を出ると、さっきの声の主たちがいた。箱のアイスを皆で分け合っている女子高生だった。
高校生よりアイスの数の方が多いような気がしたが、要らぬ心配だろう。
体がぶるっとした。今日は朝から冷たい風が吹いている。