四半世紀前

家に着く頃には、もう日付が変わっていた。
別れを惜しんで帰ってきたが、また近々会えそうな予感だ。

 

 

「お互い見つけられるか楽しみだね」「ほんと、それ」

数日前に、私から待ち合わせ場所の連絡をした。
夜には賑やかになる、若者の街を指定したのは、都合が良いという理由からだった。彼女が滞在しているホテルからも、私が通う訓練校からも近かった。街中に出るつもりは、はなからなく、駅直結のビルで会おうと決めていた。飲食店の選択肢も多いし、ビルの名を頼りに来れば、彼女も辿り着くだろう。

 

私の方が先に着いた、と思われた。周りにいる人を一人一人確認する。私と同年代の女性を探すも、該当する人がいない。つまり、彼女はまだここに居ないということだ。

楽しみであることには間違いなかったが、なんとなくそわそわとしていた。彼女がラインで言っていたように、互いに見つけられるかどうかも気になった。

 

”あっ、来た!”
すぐに、よっちゃんだと分かった。向こうもすぐ分かったようだ。
「分かったね」と互いに言って、彼女は私の横に座った。

会話は止まらず、私達は待ち合わせ場所のイスに腰かけたままだった。
このまま、ずっとここに居そうな勢いだったが、しばらくおしゃべりした後、近くの店に移動した。

 

久しぶりと表現するには、あまりにも長い期間だ。
前回会ったのはいつか、曖昧な記憶の答え合わせをした。今日のように、前回も遠方から東京へやって来て、私に会ったと彼女は言う。彼女は息子くんと娘ちゃんを、私は息子を連れていたらしい。娘が産まれる前の話だ。

 

 

私が小学校に上がって初めてできた友達が、よっちゃんだ。

最初の出会いや、小中高の思い出話など、よっちゃんとの会話は尽きなかった。長らく会っていなかった時間を埋めるには、足りなかった。

 

彼女とは年賀状で連絡を取り合っていたが、もう随分前に、それさえ途絶えさせたのは、私の方だった。しかし、彼女から連絡をくれたのをきっかけに、会うことができた。今日の日を機会に、これからいっぱい会おうと約束した。