近づく終わり

どーん、どーんという音で目が覚めた。ソファーから体を起こし、一人外に出た。

土手に上がると、皆、下流の方に体を向けていた。私もそれにならって、同じ方向に体を向けた。混み合っていたので、邪魔にならないところに移動をする。しばらく居るつもりで、しゃがみこんだ。しかし、いくら待っても花火は上がらなかった。

どうも、私はあきらめが悪かったようだ。振り返ると、一組の家族しか居なかった。
土手から下りるとき、携帯のカメラを空に向けている人がいた。花火は上がっていないし、方角もまるで違っていた。見上げた先には、綺麗な月が浮かんでいた。

 

 

「明後日、試験をします」

急な話だ。今日は課題の方を少し進めておきたい。ならば試験勉強は明日に回すか。ノートや本は持ち込み可とはいえ、復習が必須である。

テストの点数はいつも明らかにされないが、どうも綱渡り状態のような気がしている。殴り書きのようなノートも、いつか整理をしようとしていたのに、試験日には間に合わない。確か、前も私は同じことを言っている。

予定表を眺めていると、いくつかある○印のうちの一つが、明後日の日付のところに印字されていた。試験日を意味する○印は、最初から付いていたのだ。予定通り、試験を実施するだけのことだった。

 

 

○印は、あと二つだけだった。最後の試験ぐらい、堂々と挑みたいものだ。

そう、今年最後であったであろう花火は、見ることができなかった。
不意に上がる花火も、来年は楽しみたい。