どっち派?

「きのことたけのこ、どっち派?」

”私は、たけのこ派”と思わず、会話に参加しそうになった。
小学生の男の子二人が、お菓子売り場にいる。質問した男の子は、たけのこ派で、私と一緒だった。

「じゃあ、コンソメのり塩は、どっち派?」

同じ男の子が別の論争を聞き出す。そんな二択はあっただろうか?
答える側は、いつでも彼と被らない答えだった。
”どちらかというと、のり塩”と心の中で答える私と、論争を繰り出す彼とは、また同じ嗜好だった。

小さなスーパーに置かれているお菓子は限られている。異なるメーカーのポテトチップスがいくつか陳列されているが、どれも全種類は置かれていないようだ。とあるメーカーのポテトチップスが目に入った。コンソメ味とのり塩味が並べられている。

のり塩を手に取って、カゴに入れた。息子はコンソメ派だったかもと思いつつ、他には彼が好みそうなお菓子を選んだ。買い物へ出ようとしたら、帰宅した息子に出くわし、彼から”適当に”とお菓子の買い物を言付かっていた。

 

 

昼間、薬局の入口で見掛けたお菓子を、やはり買えば良かった。
そのシリーズは息子も食べているお菓子だが、店頭に置いているものは、見掛けないパッケージだった。お菓子を控えようと、その一瞬だけ頭によぎって、手が止まって購入しなかった。しかしそのあと小さなスーパーでお菓子を選ぶのが分かっていたなら、買っておいたのにと、少しばかり後悔した。家にお菓子があったら、どうせ食べるからである。

 

新商品であっただろうそのお菓子が気になって調べてみた。そもそも、私の記憶の商品名が適当な認識だったことが分かる。
”まみれ”と”だらけ”の違い。カントリーマームがチョコまみれで、ホームパイがチョコだらけである。恐らく覚えられない。

 

”まみれ”と”だらけ”の各々専用のページがあった。
”まみれ”のページにお目当ての商品を見つけた。”チョコまみれ ザ・ワールド”、アーモンドが入っている。
これを見つけた途端、すぐに誰かに言いたい衝動に駆られた。新しい商品のことではない。専用ページの存在を、だった。”誰か”は、他でもなくクラスメイトだ。数か月前なら、すぐさま教室で伝えただろう。なかでも、お菓子を一緒によく食べていた彼女達には、一番に報告したに違いない。

訓練校で勉強して以来、ホームページを見る視点が変わったのは、クラスメイト全員に言えることだった。

 

調べていくうちに、東京駅で「チョコまみれワールド2024」が期間限定で今日からオープンしていることを知った。”チョコまみれKING”という名の商品が三種類販売されている。しかし、”チョコだらけ”の商品はないようである。こちらは”まみれ派”が多いのかもしれない。