決まり

隣のマンションから出てきた男の子は、知らない子だ。けれど、彼を二度見した。子供達が通っていた中学の鞄を持っている。胸元の校章の形も間違いなかった。しかし彼が着用しているポロシャツは、見たことがない。制服が変わったようだ。

秋の心地よさが一転、急激に寒くなる。目につくものを着込んで寒さをしのぐ。先日見かけた半袖のポロシャツの男の子も、もう衣替えしただろう。冬の制服も変わったのだろうか。

学生時代、制服で冬を過ごすのは、とにかく寒かったことだけは覚えている。極暖ヒートテックとかあれば、無敵だったかもしれない。
ある基準を満たせば、係が職員室の壁に掛けられた、短いホースを取りに行く。それがなければ寒さはしのげず、かといって、使える日は限られている。エアコンが教室に完備されていない当時、冬だけはガスストーブを使っていた。しかし勝手につけることはできず、決められた気温を下回らなければ、許可が下りなかった。ガスストーブの接続部分のホースは、職員室の壁にクラスの数だけ掛けられていた。外の気温で判断していたのだろうか、5℃以下はさすがに私の記憶違いだろうと思うが、とにかくかなり寒くならないとストーブは使えなかった。

制服のメリットは、一言でいえば「楽」といえる。片付けられない私には、毎日の服も制服のように決まったものを着るのもアリかもしれない。
衣類が入ったケースはごちゃついたまま、まだ放置している。そのくせ、ハンガーラックにかかった服は季節外れに選別を終え、ダウンジャケットをすでに処分したことを思い出した。しばらくの間、着る服を決めるのに時間がかかりそうな予感がする。

週末、気温はまた戻るらしい。ストーブを出すのはもう少し先にしようか。そういえば、最終的にストーブはどこに置いたのだっけ?こっちの押入からあっちの押入に置き場所を変えたのだったか、その後移動したのだったか、いやどっちだろう。未だに定位置が決まっていなかった。