進歩

朝から落ち着かない。指定された時刻より早く来ることは拒まれている。それでも、気持ち早めの電車の時間を調べる。結果それには乗り遅れ、案の定余裕がなく、指定された時刻ぴったりに到着した。

初めての場所で要領が分からずにいたが、親切に次から次へと誘導される。スムーズだった動きが、途中で止まってしまう。このタイミングでか、と急に帰りたくなった。
ここには時計がなかった。外出時はいつも携帯電話で時間を確認する。しかし、今日はロッカーの中だ。一番不安だった検査の前に、今、何時かも分からず、手持無沙汰の時間は、より私を不安にさせた。昨日娘が、「ご褒美を買って帰れば?」と言っていたのを思い出した。そのことだけを考えることにした。

胃カメラ検査をする。事前に口からの挿入にチェックを入れておいたが、再度確認される。初めてなのでどちらがいいのか分からないと答える。錠剤を飲むのが苦手だと付け加えた。鼻からの挿入に変更になる。
先生はとても親切だった。今どこまで挿入されているか、痛いかどうか、ずっと話しかけてくれる。とにかく鼻が、そう鼻が。鼻は一日痛かった。
それでも、昔に比べれば、どの検査も苦痛さは軽減されているのかもしれない。
帰りに買ったチーズケーキを頬張ると、少しだけ鼻の痛さを忘れさせてくれるような気がした。

       ***

片付けの定義は人それぞれで、一人住まいであれ、同居人がいるのであれ、快適に過ごせていれば、それで良い。
今の状況は、まず私自身が納得していない。そして家族がいる。片付けられない私が、「片付いた部屋」を目指していくなかで、子供が成長し、自身の生活も変化し、常にみんなが快適に住むって難しいなと感じる。
家の間取りは時代とともに変化する。多くは、同じように変化する。そして多くの人が快適に過ごす。片付けられない人は、どの間取りでも片付けられないのではないだろうか。片付けのしやすい間取り、備え付けの収納家具、いやこれもまた同じ仕様では片付かない。片付けられない人といっても千差万別だ。
家づくりの世界は、医療の世界と同様、進歩しているのだろうか。私もまた進歩しなければならない。