地道

白ともグレーともいえない雲が、空を覆っていた。
橋のこちら側とあちら側で、五時を知らせるメロディーが混ざり合う。

右手には念のため持ってきた傘と、左手には大きな袋を持って、私は一人、橋を渡る。
等間隔に並ぶオレンジの街灯と、前日よりぐっと冷えた気温が、夕暮れの寂しさをより感じさせる。

橋の下を流れる川に浮かぶ水鳥は、ざっと見渡しても百羽はいる。
その多さに驚く。それにしても、彼らは冷たい水に足を浸けて、寒くないのだろうか。

 

右手には結局出番のなかった傘と、左手には小さく畳んだ袋を持って、渡った橋をまた戻る。
家を出てから、さほど時間は経っていないのに、さっき見掛けた水鳥は、目を凝らさないと見えなくなるほど、すっかり暗くなっていた。

いつものリサイクルショップの帰り道、少し足を早めた。

 

昨日は雲で覆われていた空も、今日はゆっくりと晴れ間を見せる。
知りたい情報を求めて、外出する。自宅を出て、反対方向にある二か所を回って、直接聞きに行く。気になっていたことが解決する。

 

少し寒さが和らいだのも束の間のようで、夜には皆、寒い寒いと言って、家に帰ってきた。天気予報が連日伝えるように、明日は寒波が襲う。
夜遅くには、風がゴゥゴゥと強い音を立てていた。

 

明日は何をしようか。
家の中のことを考える。

やる気を失せていた私から、脱出する兆しが、ほんの少しだけ見えてきた。