成長

着々と準備は進められていた。しかし、まだ実感はなかった。

        ***

息子と娘、二人の子供はもうすでに成人している。
今の彼らと同じ年齢だった頃の私を、振り返る。
そしてまた、今の私と同じ年齢だった頃の母のことも。

二十代前半は、就職、結婚、息子の誕生と、環境の変化がいくつかあった。
初孫になる息子の誕生を喜んだ母の年齢は、今の私と同じ年齢だ。

 

性格的に、なのかもしれない。
一生懸命に何かに打ち込んだり、趣味に夢中なったりという経験がない。
目的や目標のような、はっきりした何かを持っていなかった。それは強い意思を持つという、自信に繋がるような経験の乏しさを表しているように思う。

 

たくさんの「できない」ことに悩んできた。
今、前を向いている自分も存在するが、やはり何か引っかかっている。
それは「できなかった」過去であり、「できない」今である。

何事にも、とても中途半端だ。自身のことを考えるのも、中途半端に終わらせて解決してこなかった。
引っかかっているものを、整理する作業がまだ終わっていない。


        ***

 

娘とおしゃべりする夜も、あと少し。
静かな夜が続いたら、ようやく実感するのだろうか。