"かっこいいね"と雨の中を走る赤い車を、娘と一緒に見送った。
父と会った日の夜、同じ市内に住むよっちゃんと食事をした。
近況はほどほどに、昔話が尽きない。記憶の答え合わせが面白い。同じ習い事をしていたのに、発表会の写真のどこに彼女が収まっていたのか、記憶がない。彼女は彼女で、別の習い事を一緒に通っていたか私に聞いたが、私は体験に連れて行ってもらったきり、通ってはいない。
互いの答え合わせと、離れて過ごした期間のことを知るには、これからもまだまだ時間が必要だ。
滞在するホテルに隣接した飲食店まで来てくれた彼女は、車で帰宅する。彼女が運転する姿を初めて見た。
帰省の際は、いつも叔母のところにも顔を出す。母も合流して、姉妹の賑やかなおしゃべりが始まる。叔母は、使って良かったという品を母によくプレゼントする。その日もシミを隠すファンデーションをあげていた。
“こうやって使うねん”と言って、私のシミにポンポンして、レクチャーしていた。“明日使ったら?”と言われたが、断った。
叔母の家をあとにし、母に“いつもすっぴんやね”と言われた私は"うっすら化粧をしている"と答えた。
翌日、うっすらにもう一回うっすら重ねて、出掛けて行った。旧友と会うのは何年ぶりだろうか。