環境を整える

赤い半纏が、案外重宝していた。膝には毛布を掛け、寒さをしのぐ。
箱から顔を出しているティッシュが勢いよく揺れていた。冷え切った部屋を暖めるために、エアコンがフル稼働していた。

とにかくこの部屋は寒い。

 

自室に居る時間が多くなった。
ベットを椅子代わりにし、三段に重ねられた衣装ケースを机代わりにする。ここまでは、以前と一緒だ。その衣装ケースの上に、この度、デスクトップ型のPC一式が、こたつのある部屋から引っ越してきた。テレビ画面に繋がれていたパソコンは、今度は、夫から譲り受けたモニターに繋がれ、コンパクトになった。

 

とはいえ、テレビと比較してコンパクトになっただけで、狭い部屋に持ち込むには、十分場所を取っていた。こたつに入って作業できないことも残念だった。
しかし、なかなか暖まらない自室で使用する利点もあった。
こたつの部屋へと続いているダイニングでは、夫が寝るまでの間、そこで過ごす。夫に気遣われることも、私が気になることもなくなった。
娘が滞在中は、こたつのある部屋を使用する。パソコンを使いたい時に使えないということも、これからはない。

 

 

一つ気付いたことがあった。こたつを挟んで画面を見ていたときは必要なかった老眼鏡が、今度は必要になった。モニターとの距離が近くなったからだ。しかし、衣装ケースの端に設置したモニターは、携帯電話の画面を見るより離れている。視力の良さでカバーできる範囲ではないことに、少し驚いた。

 

この部屋にパソコンを持ってくるのは、物理的に無理な気がしたが、今、こうしてパソコンに向かっているのは、私の部屋である。ダイニングに行くと誰もおらず、知らないうちに、夫は床に就いていた。

必要なタイミングで、必要なものが手に入り、自身や周りが整っていくようである。