「暇だから、大丈夫ですよ」
レジの後ろに並ぶ人は、いない。
だからといって、ポイントカードを探すのに、こんなに時間を掛ける人がいるだろうか。いつもなら、レジに並ぶ前に必要なカードは確認する。稀に、今日のように会計時にカードを探すこともあるが、見当たらないなら提示しない。
財布の中にあるのは、分かっていた。財布から出していないのだから。
右から左、左から右と、カードの束を何往復もする。レシートの間にも、カードは埋もれている。
いい加減、どうにかしたら良いのにと、自分でも分かっている。
私がレジへ向かうと、それに気づいた店員さんはレジに急ぐ。
この店に店員さんは一人しかいない。無駄な時間に付き合うほど、暇ではないのだ。
アプリを入れることを勧められた。
レシートを溜める、カードが迷子、いつもである。
アプリでさえ、携帯電話のホーム画面で埋もれてしまいそうだった。
溢れたレシートは、時々ごっそり財布から出される。もちろんすぐには捨てない。
その中に、クリーニングの預り票が紛れていた。先日、財布に戻したはずだったが、これもまた、何度探しても見当たらない。
捨ててはいないことだけは、言える。