執着

西に位置する太陽は、水面に映る太陽との距離を縮め、こちらを眩く照らす。向かい風を受けながら、握るハンドルの手は冷たく、この時間になるまで、家を出なかったことを後悔する。それでも目的地に着けば、自転車のかごに載せられた荷物の分だけ、心が軽くなるはずだ。

9月の半ばに三ヶ月と決めた期限は過ぎている。一週間ごとに一箇所ずつ片付けると決めたことも、中途半端に終わってる。

今もなお、やっぱり片付いていない。
せめて不用品だけでもと、自転車に乗る。今日の最優先事項に掲げていた「リサイクルショップへ行く」は実行できたが、それだけで一日が終わる。非優先事項は進まない。

 

以前に比べ「もの」を手離せる思考になった。「いつか使うは、使わない」はよく分かる。しかし、まだ捨てられないものがあった。「捨てる」ことは確定しているにもかかわらずにだ。

紙のものは総じて「書類」と呼んでいるが、書類はかなり溜めてしまう。今まで何度も書類整理をしているが、いつも残してしまうものがあった。家計簿として使っていた、何冊ものノートだ。

今まで、家計簿はつけたり、つけなかったりだ。結婚当初はとてもシンプルな収支で、まだ管理ができていた。その後、つけていない時期がほとんどだが、ノートは何冊もあった。ただこれは家計簿をつけていたとはいえない。このノートを見ても、収支が分からないからだ。レシートの金額をどこかに記録しておかないと捨てられず、溜めては記録するを繰り返していた。

金額を写したレシートはようやく捨てることができるが、ノートの中身が整理されていない。支出を把握したら、捨てると決めていた。しかし放置すればするほど、情報は古くなる。しかも何年に記録したものかも分からず、何の参考にもならない。

「今」の家計の収支が大事であって、過去を今更追っても仕方がない。
家計管理をする役目は家庭によって異なるが、「家計管理ができない主婦」が私には重くのしかかる。それ故、穴の空いた過去を埋めようとしていた。何の意味もないのに。

 

今年の資源ごみに間に合うようにノートは捨てることにした。