次のステップ

台風の影響だ。庭にある木々は、強風にさらされ、もう十分すぎるほどの水分が、空から与え続けられていた。

雨音に交じって、今朝からずっと機械音が外から聞こえている。そういえば、マンションの掲示板に、業者による清掃の日が案内されていたのを思い出した。

夕方になって、業者は帰ったようだ。雨と風の音だけに変わった。
そっと玄関を開けると、当然の如くマンション内に雨が吹き込み、廊下をびしょびしょに濡らしていた。今日が清掃の日だったことに、なんだか気の毒になった。

しばらくして、風の音もかき消すぐらいの雨量が、地面を叩きつける。台風の本番はこれからだった。

 

こんな日は洗濯物を干すことも、買い物へ行くことも、家事のルーティンから消える。
晴れると思って雨が降ったり、またその逆もあったりと、翻弄される天気よりは諦めがついて、かえって良い。

ちょうどじっくりと考えたいことがあった。
ここのところ、そのことばかりが頭にあって、先週などは敢えて抑えていたくらいだった。”学びたい”という気持ちが暴走して、学んだ先のことまで妄想していたのだ。
まずは”学び”の中の、ブレない部分を自分に問いかけた。

書類整理のラストスパートをかけた先週、懸命に”学び”というワードを払いのけ、目の前にある紙の束に集中した。

私にとって、「書類整理」と同様に「家計管理」も片付けのカテゴリーの中にある。
書類の大半は、家計に関する紙類だった。それゆえ書類整理と家計管理は常に一体なのだ。片付けの中でも、とりわけこの二つは、私にとって肩の荷だった。

夫に家計の現状を伝えるだけでも、とてつもなく時間がかかる。毎回その繰り返しで、その都度、改善を試みようと、携帯電話、公共料金、クレジット、保険などの言葉が雑用紙に綴られた。いつまでも横線で消されることなく、また同じことを書いては溜まっていく。

ゴールはいつも浅かった。夫と共有すべき家計は、いつも現状を報告するだけで精一杯で、その先をじっくり話し合い、実行するまで至らなかった。お互いが、主婦である私が管理するのが、理想であり、そうあるべきだという認識だった。

核である家計管理ができていない状態は、他に気になってることが余計に言い出しづらくなってしまう。しかし、今回は違った。すべてを共有し、気になってることは一つも残さず、解決に向けて切り出した。金融機関を回ったのもそのためだった。

 

私は一番大きな肩の荷が下りたのだ。
だからだ。まとわりついていた”片付けられない”が一部剥がれたおかげで、学びたい気持ちが加速しているのも無理もない。