旅に出る

“かわいい子には旅をさせよ”
今頃、トラックに揺られているのだろう。片道切符しか持たせていないあの子達と、今後二度と再会することはない。

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連日、近くのコンビニに通っていた。もう三日目には慣れたものだった。初日は若い店員さんに丁寧に教えてもらう。小包に伝票を貼る前に、まずレシートと同じ感熱紙に印字された伝票を、シールのついた透明フィルムに入れる。老眼鏡は持参しなかったが、恐らくあっても同じだっただろう。フィルムに切れ目があるのだが、それを探すのが困難だった。手間取っていると、「黒い線のところです」と店員さんは声を掛けてくれる。
基本郵便局への持ち込みをする。郵便局とのやり方の違いに戸惑ったが、レジに行く前にマルチコピー機とやらで発券することも、二日目からスムーズにできた。
フリマアプリ「メルカリ」を再開してみた。今年最初に出品したのは梅雨時期だったはずだ。二か月近く経ち、ようやく買い手が見つかった。それから、最近出品していたものも、次々と買い手が見つかる。郵便局とコンビニに小包を持って行く日々が続く。

不用品の行く先は、「ユニクロのリサイクルボックス」か「不用品を引き取ってくれる店」か「リサイクルショップ」、そして「メルカリ」のどれかだ。
「不用品を引き取ってくれる店」は寄付という形で値段はつかない。売上金を環境活動のための資金としている「エコの店」だ。

洋室の一角に残った不用品は、「メルカリ」行きのものがなくなった。あとは自転車を漕いで、残りの三か所に持って行くだけだ。俄然やる気が湧いてくるも、腹痛が私の行動の邪魔をする。薬を服用すれば、ましになるものの、どんよりした気分は続く。それでも腹痛が少し収まったところで、一番近いところに出向いた。つい先日も行った「エコの店」だ。その帰りにはスーパーにも寄った。夕食の食材を買うためではない。作業台に設置している容器に、鈴の絵が描かれた小さな紙を入れてスーパーをあとにする。

ここのベルマーク箱は、近くの小学校の名が入っている。子供たちの出身校ではなかった。別のスーパーに、子供たちの出身校が設置したベルマーク箱が置いてあったが、今ではもうなくなってしまった。出身校で役立ててほしいと、以前は頑なにそこへ持って行っていた。そういうところが私にはある。役に立つならどこの学校でも良いのに。子供たちが小学校を卒業しても、ベルマークを食器棚の隅っこで集めていた。また一つ、片付く。

メルカリの発送元にもこだわりがあった。コンビニでは出荷の反映が遅く、保管場所の環境に少し不安があったので、郵便局か配送会社の営業所へ持参していた。でも近いに越したことはない。
小さな紙袋に収まった、かわいいぬいぐるみは二匹ともコンビニに預けられ、それぞれ遠方に旅に出た。トラックに揺られ、そろそろ新しいお家に着いただろうか。