日和

ベランダから見る細長い空は、一面雲に覆われていた。湿度を示す数字は高かったが、嫌な感じはしない。開け放した窓から入る風が、連日の暑さを忘れさせてくれた。

「夏の風物詩」は一匹だけではなかったようで、気付けば合唱をしていた。一旦静かになるも、また鳴きだす。昨日とは打って変わって気温がぐっと下がったこの日、彼らの声は似つかわしくなかった。

蝉の声にどうにも集中できずにいた。パソコンに向かった視線は、時折外に目をやるが、だからといって蝉の居所を確かめるわけではない。午後になっても、なお鳴き続けている。命短し彼らは懸命に生きているのだと理解する。

集中できないのは、蝉の声だからというわけではない。音がする空間では、いつでもそうだった。無の世界で没頭したいと常々願っている。

所狭しと干した大量の洗濯物は、今日は恐らく全部乾ききらないだろう。だが、自転車でユニクロに行くにも、玄関前のドクダミを刈るにも、ちょうど良い日和だった。そんな機会もどれ一つ活かせず、そのうち頭が痛くなって、気付けば夕方になっていた。

今週は、洋室の一角を一掃する予定でいた。結局、完了せずに平日の終わりの金曜日を迎える。集められた不用品は一部処分できたが、まだある。和室の押し入れから出した書類も、すべてここに持ってきた。こちらもまだある。

来週は何日和になるだろうか?また気温は戻る。
異常な暑さからも片付けからも早く解放されたかった。