メンテナンス

生年月日の欄はすでに記入済みだというのに、年齢を書くのを躊躇した。身長と体重を書く欄もある。恐らく「子供」だった場合に必要な情報であって、「大人」の私は、生年月日と体重以外は不要かと思われた。しかし空欄があるのもかえっておかしい。すべての欄を埋めた紙を受付に出した。

最近も他人に体重を聞かれた。過去一重い体重を、か細い声で答える。処方する薬の量に関係するのだろう。そう、あの日病院のベッドで弱っていたときだ。

会計時に処方箋に書かれた名前と生年月日を確認するよう言われる。鞄に入った老眼鏡を出さずに、しかめっ面で焦点を合わせて確かめたが、最初に受付で出した問診票のとおり間違いはなかった。外に出てもう一度確かめる。生年月日の横には「49歳5か月」と書かれていた。

洗濯物のシミを下洗いするときも、書類を整理するときも、手の指に何かが触れるととても気になった。治まっていたかゆみが復活する。市販の薬を試したが、なかなか治らず、そのうちひどくなってしまった。
皮膚のかゆみは乾燥によるものだった。先生が肉眼だけでなく、虫眼鏡で皮膚を観察する。いや、あれは医療道具で、大きく見えるレンズであることは共通していたが、虫眼鏡とは言わないだろう。
かゆみ止めと一緒に保湿クリームも処方される。化粧水もクリームも、出掛けるときにしかしない。ましてやハンドクリームを塗る習慣がなかった。全くケアをしていない体だった。

自分に関することは、特に二の次だ。自分磨きや何かを楽しむことの、スタートラインに立ってはいけないような気になってしまう。それは「片付けられない」がまとわりついてるからだった。まずはやることがあるでしょうと、頭の中で誰かが言う。
しかし、肌の最低限のケアは歯磨きぐらいの習慣ですることなのだろうと感じている。


「片付け」も「身体」も、気になることは放置しないように努めることとする。
秋には、初めての人間ドックを受けにいく。