半休

”大変混みあっています”というメッセージは聞き飽きた。
それでも電話は切らず、スピーカー機能をONにして、根気よく待ち続ける。

相手先の電話の受付時間が限られていた。こちらも、いつでも電話を掛けられるという訳ではない。今日、この件は済ませておきたい。

自動音声が随分流れたあと、ようやく「大変お待たせしました」の声が聞こえた。

電話がなかなか繋がらなかった間も、予約は次々と埋まっていったのだろう。土曜日しか予約できないという、こちらの事情もあった。それにしても、健康診断の日程がかなり先になってしまったのは、想定外だった。

 

職業訓練校に通っている期間、月に一度”ハローワーク来所日”がある。
必ずハローワークに出向かなければならない。そのため訓練校はお休みとなり、受講生は各自管轄のハローワークへと行く。

 

いつもの平日の朝より、幾分ゆったりした時間が流れていた。なかなか繋がらない電話を待てたのも、今日がハローワークの来所日だったからである。

 

ハローワークは各々目的を持ってやって来るが、老若男女いつも誰かしらいる。
目的の窓口は複数設けられていたが、どこも埋まっており、ぼんやりと番号が呼ばれるのを待っていた。
窓口で手続きを終えた一人が、席を立とうとした。その横顔に見覚えがあった。
視線を送り、手を振った。

”また明日”と言って、別れた彼女は訓練校のクラスメイトだった。