心軽く

残念ながら、その日は雨予報だった。
今年の桜の開花は早く、気付けばピークを過ぎていた。そんなことも相まってか、当日の雲行き具合をみるまでもなく、満場一致で、数日前には花見の中止が決定した。

午前中は天気が良かった。少し桜を見に行っても良いかな、と惑わされたが、これから天気は下り坂だ。しかも昨日の雨で、まだ地面は乾いていないだろう。

雨が降らないうちに、仲間が我が家にやって来る。

長い付き合いのある彼女たちを、客人としてもてなすことはなかった。私が片付けられないことや、掃除ができないこともよく知っている。とはいえ、私なりに片付けや掃除に励むのだが、一部キッチンの掃除が間に合わなかったのは、心残りだ。

 

 

数日後、近くの桜並木は、全ての花が落ち、葉桜となっていた。
足を止めて、携帯をかざす者は、もういなかった。
私もまた、足を止めることなく、歩いて行く。

用事を済ませた私は、一度自宅に戻り、午後からまた目的地へと出掛けた。

駅から近いこの大きな病院には、もう何度も来た。待合室のイスに座るまでの一連の流れは、手慣れたものだった。

術後の経過も問題ないとの先生の言葉に、お礼を言って診察室を後にした。今日で病院通いも最後だ。

 

今年の初めから、少しばかり忙しい日々を送っていたが、ようやく落ち着いた。