卒業

カレンダーを見るたび、赤いマジックで書いた星印が目に入る。
改めて見ずとも、今日がその日だということは頭に入っている。それでも、もう一度カレンダーを確認する。

朝から待ち続けたラインの通知音が、お昼近くになってようやく鳴った。

昨年の秋に予約した袴が、門出の席で無事に披露されることが確定し、安堵する。

 

 

気づけば、もう春を迎えていた。

何度季節が巡れば、片付くのだろうか。これもまた、同じことを語っている。
息子と娘の環境の変化、意識の変化をみていると、私も新しい門出に立たなければならないなと感じていた。

 

 

夕食の支度時、インターホンのカメラ越しに予期せぬ訪問者がいた。
「連絡するの、忘れてたわ」と突然帰って来た娘が、玄関先に立っていた。

今朝の家族ラインでの娘からの報告に、改めて本当に良かったと、今しがた息子と話していたばかりだった。
お箸をもう一膳並べたら、急に食卓が賑やかになった。