規格外

白く塗られた木製の引き戸は、厚さが3㎝あった。少し重く感じるのは、毎回すんなり開かないせいでもあった。引き戸を開ければ、上段と下段を仕切る板がある。機能は押し入れと全く同じで、ここも「押し入れ」と呼んでいた。
引き戸を開閉するたび、蓋付きの収納ケースが少しつっかえる。開閉頻度は少ないとはいえ、毎回不便さを感じていた。押し入れ用の収納ケースが「押し入れ」にうまく収まっていなかった。

和室の押し入れに万年床の布団を収納するため、あれこれ考える。こちらもあちらも「押し入れ」のなかはぎゅうぎゅうだったが、良い案を思いつく。和室の押し入れから、洋室の押し入れへ、収納ケースを移動して空間を作るというものだった。

そうだったと気付く。「良い案」は却下され、和室から運んだ「引き出し型の収納ケース」は元に戻された。引っ越し後に、ここに収まらない収納ケースがあると気付いた。それはうまく押し入れに収まっていない「蓋付きの収納ケース」のことではなく、奥行が76㎝ほどの「引き出し型収納ケース」であった。いつしか記憶がすり替わり、勘違いをしていた。
押し入れ用の収納ケースはメーカーが違えば奥行も様々だった。しかしどれも「押し入れ」に入るのが前提である。「押し入れ」側の奥行が足りないとは思いもよらないだろう。

洋室の「押し入れ」は「奥行がほんの少し足りないこと」以外にも使いづらい点がいくつかあった。息子の部屋にあるということ、湿気がこもりやすいこと、部屋と押し入れはつらいちではなく、段差があること。収納できるものが限られてしまう。

部屋を見渡すと、天井や壁にでっぱりがあった。マンションの特徴である。模様替えを考えるときも、そのせいで断念せざるを得ないことも多い。

片付けられない私には、このようなことが困難を増やすのだった。