つもりで

引越に伴って、大量のごみが出た。引越後も、まだ後片付けをするために、引越前の住居に足しげく通う。連日の作業で、とても疲れている。

と語っていたのは、同じマンションの住人だった。彼女が引っ越したことで、また古株住人として、一つ昇格した。

彼女の家の、増え続けた「もの」は相当な量だったようだ。「もの」を処分するのに、引越はよい機会だと言っていた。

我が家の「もの」も、とにかく多い。もし、引越をするとして、今、家にある「もの」を新居に運びたいかと問われれば、「いいえ」と速攻答える。
引越をするつもりで、新居に運びたくない「もの」は、処分したらどうだろう。

 

 

ワンルームの部屋は、時々ブラックホールになる。
どうしても見つからない、失くしものがあるという。ここに出向いたついでに、「失くしもの」を捜索する。ワンルームの住人の、娘がいくら探してもなかった「もの」は、私が探し始めると、すぐに見つかった。

さて、次は何をしようかと、部屋をぐるりと見渡した。
本来の目的の用事のほかに、目に付いたことを次々とこなしていく。なぜだか、他所の家だと、動けるのである。

 

 

他所の家に、引越の手伝いに来た、という設定にする。
そのつもりで、「もの」を減らしていく。そして、どうしてこんなに散らかっているのだろうと、他人事に捉えて、サクサクと家事をこなしていくのだ。

さて、まずは切らしているごみ袋を買いに行くところからである。