平日の自由

騒音が鳴りやんだ。昼休みの知らせだ。
静かなうちに、お昼ご飯を済ませておこうと、昨日のおかゆの残りを温めた。

一昨日から続いていた胃の痛みは、今朝になって治まった。しかし、まだ体は重い。訓練校が修了し、その後、立て続けに入っていた予定を終えると、どっと疲れが出たようだった。

13時を回ると、再び騒音がした。ドリルの音は、天井に穴があくのではないかと心配するほどだ。上の階のリフォーム工事が始まった。

 

 

ようやく、平日に時間が与えられた。まだ、新しいルーティンは決まっていない。

家を出る時間までにという決まりがなくなり、午前中に洗濯機を何回も回している自分に、時間の使い方が、いやそうじゃないんだよなと呟いた。

洗濯機を回す気力だけはあったが、疲れた体には、毎回違う飲み物を注いたマグカップから、水分を補給した。教室では、予め用意した飲み物しか飲めなかったが、家では、飲みたいときに飲みたいものが、自由に飲めるのがいい。

生姜湯、紅茶、ハーブティー、スープとその時の気分で選ぶ。
最近娘が飲んでいると言っていたココアを、買い物途中で思い出し、我が家のラインナップに加えた。封を開け、カップ一杯分に分けられたスティックを取り出した。
ゆすいだマグカップに、牛乳を入れた。

牛乳はあまり飲まないうえ、温める機会も少ない。何ワットで何分ほど温めたら良いのか、いつも手探りだ。電子レンジを買い換えてから、ちょうど良い温度まで温めてくれる、牛乳のあたため機能がなくなり、地味に不便だった。
ないよなぁと思いながら、電子レンジに小さな字で書かれた文字を、じっくり眺める。
あった。”お好み温度”という文字を見つけた。

三年以上、気付かぬまま電子レンジを使っていた。

 

控えていたコーヒーは、明日は飲めるかもしれない。
マグカップを片手に、これからを考える。