睡眠

しばらくしたら、外から聞こえる不快な音は止んだ。
それと引き換えに、心地よい夜風が、部屋を通り抜ける。

ヘリコプターの音をあまり好ましく思っていなかった。
近くの川で何かあったのではないか、など良からぬ想像をしてしまう。

ヘリコプターが去ったあと、静寂に包まれた、とは言い難かった。
電車の音が、常に聞こえていた。
もう慣れているはずで、音の認識など普段はしていないのに、なぜか耳を傾けてしまう。

電車の音がやがて遠くなり、私の頭がひどく下がっていることに気付くと、今、寝ていたということを自覚する。何度もそれを繰り返しているうち、首が痛くなっていた。

 

冷蔵庫からお茶を取り出し、喉を潤す。
眠気が少し遠のいていく。

このまま起きていようかなと考える。
夜の散歩に出たい気分に駆られるが、それを実行するには時間が遅すぎた。
家の中で、音を控えてできることは、限られている。

 

頭の中の片隅にある、やりたいことリストをまだノートに書きだしていなかった。
そう、忘れぬうちに記しておきたい。

 

ノートを持ってくる前に、先程の言葉を撤回しなければならない。
睡魔がまた襲ってきた。