「あっ、行き過ぎた」
遮断機の下りた踏切を待たずに、線路沿いを進んで次の踏切を渡った。
いつもと違うことをするから、目的地を通り過ぎてしまった。少し戻ろうと、体の向きを変えた。
「いや、違う」
行き過ぎてはおらず、目的地はまだ先だった。いつもの踏切を渡らなかっただけで、方向音痴が発動した。
用を済ませ家に戻るも、荷物を持ってすぐに次の目的地へ向かう。先ほどとは逆の方向だ。我が家の不用品は、誰かの家でお役に立てるらしい。配送業者の設定を誤ったせいで、右へ左へ荷物を送る手配をする。
プチプチプチと膝で踏んだ資材が音を立てる。ベッドの足元に溢れる資材は、使う度に広げるものだから、ベッドの上を占領する。それをまたガサっと集める際には、ベッドの上に乗るものだから、その度にプチプチを破壊する。
引越で使用したプチプチ資材が、私の部屋を占領している。それだけではない。我が家の不用品も場所を取っている。
その時々で、リサイクルショップや寄付などを利用して不用品を処分するのだが、今は、せっせとフリマアプリに出品する。
梱包に使うプチプチ資材は、ふんだんに使っても、まだまだある。惜しみなく使えると思うと、普段より丁寧に丁寧にぐるぐる巻きにし、あげく想定してたサイズよりオーバーしてしまい、送料が余分にかかるという意味のないことをしてしまう。
ちなみに、商品の撮影及び梱包は、アイロンと同様に、我が家の作業場所と化した玄関で行われる。
プリマアプリは面倒といえば面倒で、ほぼ利益のない価格は労力だけ奪われてしまうのだが、”発送して下さい”と通知が来るのは、やはり嬉しいものである。