東京の空

あいにくの天気だった。
正月休みも、普段と変わらず、洗濯機を回していた。

娘とウォーキングに出た午前中は、よく晴れていた。しかし、午後には雨がパラリとした。”今日は乾かないな”と呟きながら、夜にコインランドリ―へ行こうかなと考えていた。

 

娘も帰省し、夫も実家から戻ってきた。
おせちは年々簡素化されて、今回生協で購入したおせちの中身は、ほんの数品で、重箱にさえ詰めなかった。年末に出向いたスーパでも、お正月用の品には目もくれず、買い物をした。そのため、雑煮用の白味噌をうっかり買いそびれるところだった。

何することなく、各々の空間から、時々ダイニングに顔を出しては、食するものを物色する。朝昼は、お腹の空いたタイミングで各自で食べる。
夕食でようやく家族全員が揃って食卓に付く。食べ過ぎないよう気を付けているのだが、やはりお正月は自分に甘い。

 

そのうち、家族が同じ空間に揃う日も少なくなっていくのかなと、漠然と考えたりする。

 

 

夫の転勤に伴って、関西から関東へ引越をしたのは、25年前の年の瀬のことだ。
人生50年のうち半分は関西で、半分は関東で過ごしたことになる。
縁もゆかりもない土地に越してくることは、予想もしていなかったことだ。

子供達の育った町、実家と呼ぶ場所が、ここだと言うのは、なんだか不思議である。
しかし私自身、ここに馴染んで、すっかり居心地がよくなっている。

またいつか、縁もゆかりもない土地に辿り着いて、縁とゆかりのある土地になっていくのだろうか。

これから、私達夫婦、子供達は、どこから空を眺めるだろう。