来年もまた

一段と寒くなった。
普段は携帯しないハンドクリームを忍ばせて、電車に乗った。

遥子ちゃんとのランチは久しぶりだ。
今回も二人で日程を決めてから、いつものメンバーを誘った。誘う二人は、どちらかが仕事なので揃うことはないが、珍しく四人で会えることになった。

 

”リフォーム”や”健康寿命”という単語を交えた会話は、”住まい”や”人生”の長さを物語っている。私達も二十年ほどの付き合いである。

”お肌の調子”の話題に触れたとき、一人が”最近クリームを塗る習慣が付いた”と言ったが、まさに私もそうだった。
多くの人がしているであろうケアを私はしていない。今年の夏のある日、鏡に映る素足に愕然としたのをきっかけに、毎日、朝晩クリームを塗る。しかし、彼女と違ってまだ日中は習慣付いていない。

 

席を立って戻って来た遥子ちゃんは、ハンドクリームを塗りながら、”塗る?”と聞いてきた。遠慮なく手の甲の上にクリームをのせてもらった。

ここへ来る途中、鞄に忍ばせていたハンドクリームを手にのせたら、少し違和感があった。よく見ると、それは洗顔フォームだった。

 

会話の途中で、”私はやりたいことがいっぱいあるから~”と発言した。
その言葉を発する”私の声”が”私の耳”に入ってきて、”やりたいことを実行します”と自身に宣言しているようだった。

子育てを終わったみんなも、家族の変化に向き合いながら、自身のことを考える。

 

”良いお年を”と言って別れたみんなとは、来年テニスをする約束をした。