「お尻が痛い」
翌朝、夫に”筋肉痛は?”と聞かれたのでこう答えた。太もももふくらはぎも痛かった。
”今日じゃなくて良かった~”と太ももを擦りながら呟いた。筋肉痛のことなど頭になく、遥子ちゃんとのウォーキングの候補日に今日も入れていたのだ。結果、別の日に決まり、週一のウォーキングはすでに決行済みである。来週のウォーキングには痛みも引いているはずだが、筋肉痛っていつまで続くものだろうと考えた。
行きたいと言ったらすぐに願いが叶った。
”来週ね”と友人とラインを交わしたが、日にちは決めずアバウトな約束をした。天気のいい日を見極めるにはまだ早い。週が明けてから行く日が決まった。そんな自由な約束が今ならできる。
当日はもちろん快晴である。山へ行くのだからと一枚余分にナイロンの上着をリュックに忍ばせたが出番はなかった。
随分前に一度家族で来たことがある。そのときはケーブルカーに乗っているはずだ。今日はその選択肢を除いて、往復のコースは何度もここを訪れている友人にお任せした。
おしゃべりに夢中になりながらも、足元には注意を払った。油断すれば崖から落ちてしまうし、ごつごつした道でこけそうになる。
彩られた景色を堪能し、山頂まで歩いてきた達成感で満足し、心は癒された。
帰ってからも余韻に浸っていた。山頂で出会ったご夫婦のことも思い出していた。
休憩中、机を挟んで相席になった年配のご夫婦がいた。定年後は夫婦で旅行を楽しんでいて、今回も遠方からツアーに参加しているとのことだった。
彼らが去ったあと”素敵なご夫婦だったね”は友人と共通の感想だった。何気ない二人の会話と空間はとても印象的だった。