救世主

随分前に予約をしておいたが、日程を変えざるを得なかった。読みが外れてしまったからだ。変更できる日が限られていたが、希望の週に予約を取り直すことができた。

帰省後は疲れをとることを優先し、いや口実にゆっくりしていた。実際、昼間に何度も睡魔が襲ったから、やはり日常のリズムを取り戻すのに時間を要した。数日後、さぁ片付けを始めようかという矢先、今度はお腹が痛くなる。この腹痛は毎月のことだ。どうりで、昨日少しイライラしていたわけだ。薬を服用し、時間経過とともによくなるのを待つ。相変わらず、錠剤を飲むのが嫌で仕方がない。

カレンダーを確認する。何度見ても同じだった。来月の腹痛がやってくる日と被ってしまう。健康診断の日程を変更する。先へ延ばすと、また読みが外れてはいけないので、確実に行ける日を希望した。

        ***

自転車を漕いでいると、聞きなれない音が街に流れた。店を出るときに確認した時間から、17時を知らせるチャイムに違いなかった。

リサイクルショップは自宅から5Kmほど距離があって、ゆっくり走る私の速度では、自転車で30分以上かかる。行くには気合いが必要だった。最後に訪れたのはもう何年も前のことだ。最近では専ら、「寄付できるお店」を利用し、不用品を持ち込んでいる。ただ引き取ってくれるものは、なんでもかんでもというわけにはいかない。

ある日、リサイクルショップが近くにないんだよなぁと期待もせず、スマートフォンで検索した。すると自宅から近いところにあることを知る。しかも、引き取ってくれるものも幅広い。確かにここに越してきた当時はなかったようだが、それでもオープンして十年近く経っていた。

夏の初めに訪れてから、今日で四回目の利用だった。腹痛が治まっている間に、玄関にずっと置きっぱなしだった不用品を持って行く。買値が付かないものがほとんどだったが、引き取ってくれるだけで非常に助かった。ずっと視界に入っていた「もの」がなくなると、随分スッキリする。行き帰り身体はどんよりしていたが、家から「もの」が出せた喜びの方が勝る。
リサイクルショップは、自宅から自転車で10分もかからない。しかし県を跨ぐ。17時のチャイムが新鮮だった。

自転車のかごに入る分だけ持って行く。年末まであと何回来るだろう。